知らなかったでは済まされない!相続法改正のポイント

こんにちは。無垢スタイルの不動産「ムクエステート」の猪俣です。

2018年7月に相続法が大きく改正され、2019年1月13日から段階的に施行されており、2019年7月1日より本格的に施行されました。
主に「残された配偶者が安心して生活できるように」改正されました。
今回の改正により、どのような点が、どのように変わったのかポイントを紹介します。

高齢化社会に合わせた法整備

配偶者居住権や自筆証書による遺言書の保管制度など新たな制度が設けられました。
相続に関するトラブルを防ぐために、民法では、誰が相続人となり、また、何が遺産にあたり、被相続人の権利義務がどのように受け継がれるかなど、相続の基本的なルールが定められています。
この民法の相続について規定した部分を「相続法」と言います。
相続法は、1980年に改正されて以降、大きな改正は行われていませんでしたが、高齢化の進展など社会環境の変化に対応するため、約40年ぶりに大きな見直しが行われました。
今回の相続法の改正の主な内容は次のとおりです。

相続法の改正の主な内容

(1)配偶者居住権を創設(2020年4月1日より施行予定)
(2)財産目録の作成がパソコンで可能に(2019年1月13日施行済)
(3)法務局で自筆証書による遺言書が保管可能に(2020年7月1日施行予定)
(4)被相続人の介護や看病で貢献した親族の金銭要求が可能に(2019年7月1日施行済)

(1)配偶者居住権を創設(2020年4月1日より施行予定)

配偶者居住権は、配偶者が相続開始時に被相続人が所有する建物に住んでいた場合に、終身または一定期間、その建物を無償で使用することができる権利です。
これは、建物についての権利を「負担付きの所有権」と「配偶者居住権」に分け、遺産分割の際などに、配偶者が「配偶者居住権」を取得し、配偶者以外の相続人が「負担付きの所有権」を取得することができるようにしたものです。
上記のとおり、配偶者居住権は、自宅に住み続けることができる権利ですが、完全な所有権とは異なり、人に売ったり、自由に貸したりすることができない分、評価額を低く抑えることができます。
このため、配偶者はこれまで住んでいた自宅に住み続けながら、預貯金などの他の財産もより多く取得できるようになり、配偶者のその後の生活の安定を図ることができます。

※配偶者居住権を取得した場合、その財産的価値相当額を相続したものとして扱われます。

(2)財産目録の作成がパソコンで可能に(施行済)

これまで自筆証書遺言は、添付する目録も含め、全文を自書して作成する必要がありました。
その負担を軽減するため、遺言書に添付する相続財産の目録については、パソコンで作成した目録や通帳のコピーなど、自書によらない書面を添付することによって自筆証書遺言を作成することができるようになりました。

(3)法務局で自筆証書による遺言書が保管可能に(2020年7月1日施行予定)

自筆証書による遺言書は自宅で保管されることが多く、せっかく作成しても紛失したり、捨てられてしまったり、書き換えられたりするおそれがあるなどの問題がありました。
そこで、こうした問題によって相続をめぐる紛争が生じることを防止し、自筆証書遺言をより利用しやすくするため、法務局で自筆証書による遺言書を保管する制度が創設されます。

(4)被相続人の介護や看病で貢献した親族は金銭要求が可能に(施行済)

相続人ではない親族(例えば子の配偶者など)が被相続人の介護や看病をするケースがありますが、改正前には、遺産の分配をされないため、不公平であるとの指摘がされていました。
今回の改正では、このような不公平を解消するために、相続人ではない親族も、無償で被相続人の介護や看病に貢献し、被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした場合には、相続人に対し、金銭の請求をすることができるようになりました。

その他に改正された、これから改正される点

実情に合った様々な方策が盛り込まれました今回の改正では、他にも下記の方策が盛り込まれています。
・配偶者短期居住権(2020年4月1日施行予定)
・自宅の生前贈与が特別受益の対象外になる方策(2019年7月1日施行済)
・遺産の分割前に被相続人名義の預貯金が一部払戻し可能に(2019年7月1日施行済)

以上のように、主に配偶者や被相続人と近しい関係性のあった相続人に対して考慮した改正となっており、この改正で少しでも相続時に親族間で争う「争族」にならないことを期待したいと思います。

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