不動産価格の下落で考えるべきリスクと対策

こんにちは。
無垢スタイルの不動産「ムクエステート」の猪俣です。

今、日本は「不動産バブル」の状況といわれております。

東京オリンピックやインバウンドによるホテル需要や、都心の賃貸入居率の上昇などによる商業ビルの建設ラッシュで不動産市況は30年前のバブルを凌ぐともいわれております。

ではこの景気停滞の中、どうしてこのような現象が起きているのでしょうか。

1. 金利低下による影響

日本の中央銀行である日本銀行(日銀)が打ち出す金利政策(いわゆる異次元緩和)は、住宅ローン金利に直結するため、不動産需要に影響し、それが結果的に不動産の需要に直結します。

金利が上がれば不動産価格は下落する傾向にあり、金利が下がれば不動産価格は上がる傾向にあります。

今の日本の状況は金利が下がったことでローン返済額が下がり、不動産の購入意欲も上がります。
それによって不動産の需要も上がり、不動産価格も上がるというわけです。

この5年間で、企業や個人が金融機関から借りたお金の約8割が不動産関連に投資するために使われております。
つまり現在の土地バブルは「金利の低下」が引き起こしているということになります。

2.公示価格が教えてくれる「不動産バブル」

弊社が定期的に開催している相続セミナーや税務相談会でよく質問される内容の一つに、「今後自分の所有する物件は価値が上がるのか知りたい」というご質問がございます。

東京都は2013年以降約13%公示価格(住宅地)が上がっております。
特に23区においてはここ数年毎年4~5%ずつ上昇しております。

ですが埼玉県においては2013年以降、実はほぼ横ばいで推移しております。

「いや、うちの近所はこの数年でかなり高くなったよ」
と思われる方もたくさんいらっしゃるかと思います。

これは地価公示が「上昇しているエリアと下落しているエリア」があるからです。

例えばさいたま市大宮区は過去5年で12.5%上昇しておりますが、のぼうの城の忍城や、ドラマ陸王のモデルになった足袋製造会社、ゼリーフライなどでおなじみの「埼玉県名発祥の地」行田市においてはマイナス6%となります。

つまり都心に近い県南部と県北部で公示価格が2極化してる状態になっており、埼玉県の72市区町村のうち、公示価格が上昇傾向なのが29市区町村、残りの43市町村は下落傾向なのです。

3.約10年前の「ミニバブル」との違い

平成17年~20年くらいにかけて地価公示価格が少し上がった時期がありました。
その当時は今より地価が下落した市町村は少なかったのです。

大きな理由として「埼玉県の人口推移」があげられます。

いわゆる不動産一次取得層といわれる30歳代の人口は平成19年頃がピークで、以降30代の人口は大きく減少しております。

つまり今と比べ不動産を購入する年代の人口が多く需要があったことが価格上昇につながっているのです。

そのため現在は

駅から近い土地やマンションは価格が高くなるけど、郊外は価格が下がっている
都心5区(千代田区、中央区、港区、渋谷区、新宿区)に出やすい県南部は上昇し遠い西部や北部は下落している

という二極化がおこっている状態です。

4.今後の不動産価格暴落リスク

超低金利のおかげで今までは「家を買いやすい」などのメリットが表に出ておりましたが、もうこれ以上下がらない状態までになってしまったことで、金利が低すぎることの「副作用」がクローズアップされるようになりました。

大きな副作用として、金融機関、特に地銀の経営悪化があげられます。
地銀の収入は利息収入と手数料収入の二本柱ですが、金利が低下したことで利息収入が減り経営を圧迫している状態が続いております。

異次元緩和を続けると多くの地銀が経営難に陥る可能性が高くなることから、多くの経済専門家は「東京オリンピック前後」を目安に現在の緩和をやめるべきであると提言しております。

異次元緩和が終了し、金利が上がると不動産購入者が借りられる額が減るため、不動産価格が下落します。
例えば1%金利が上がると、同じ人が同じ返済額で借りられる額が約500万円も減ります。

金利を上げることに否定的な経済専門家もいますが、リスクであることには変わりないのです。

5.所有する不動産を「高く売る」コツ

これまでお話した内容で、今がいかに「暴落リスクが高い」状況にあるかをご理解いただけたと思いますが、そうなると当然「今のうちに早めに売却をしないといけない」と思われる方もいらっしゃると思います。

ですがここで売却をする前に必ず行ってほしいことがございます。

それは「所有する不動産の【適正価格】の把握」です。

ただ不動産業者に査定を依頼するだけでは【適正価格】を把握できない場合がございます。
【適正価格】を把握する鍵は、『不動産価格の査定』です。

不動産には値段がついておりません。
では売却する際にどのように価格を決めるかといいますと、不動産鑑定士や不動産業者による「査定」をしてもらうという方法が一般的です。

最近では入力するだけで複数の不動産業者に不動産査定を依頼することができる「ポータルサイト」などがあります。

ですがこの「ポータルサイト」には大きな落とし穴があります。
それは「査定価格が相場よりも高くなる傾向がある」です。

価格が上がるのはいいことのように思えますが、不動産は土地の価値と建物の価値で算出するのですが、ポータルサイトで複数社に依頼することで、依頼を受けた業者の中には「他社より高い金額を出して売却を依頼してもらおう」と考える業者もいることが多いため、実際には査定した価格では売れず、結局他の業者が出した査定価格で決まるなんてこともしょっちゅうございます。

査定をする際は、価格を鵜呑みにするのではなく「なぜこの価格なのか」根拠を明確に説明してもらえる業者に依頼することをおススメします。

6.2022年問題とは

不動産を所有される方の中には家業が営農で「農地」を所有している方もいらっしゃると思います。

不動産業界で話題になることが多い「2022年生産緑地問題」について、地価に影響するのではという見方がありますが、個人的な見解としては「特定生産緑地制度」の新設等により、そこまで地価には影響が出ないのではと考えております。

それよりも、むしろ生産緑地おける営農者の高齢化や後継者問題、収益性などを考えれば、営農者の高齢化でその子世代が営農を続けることが困難である場合は、万が一に備えいつでも生産緑地の指定を解除して非農地化・売却できるような備えをしておくことが大切になります。

生産緑地の指定を解除したくても、所有者が認知症等により意思表示ができない状態であれば、成年後見制度を利用する選択肢しかなくなり、後見制度を利用すれば、様々な制約により積極的な資産運用や相続税対策をすることができなくなり、残される家族にとっても大きなリスクになります。

7.まとめ

これまで述べたように不動産の価格は様々な要因の中で、その地域の特性などによって決まるため、慎重に価格を決定する必要がございます。

今後不動産の需要が人口の減少とともに減っていくことを考えると、公示価格が下落しているエリアはできるだけ早く、公示価格が横ばいのエリアは将来売却することを念頭に入れておく必要があるものと思われます。

不動産価格が下落するなどのリスクを回避するためには、早めの後継者の準備や相続対策、状況に応じて、家族信託や遺言、生前贈与、法人化、生前売買等を計画・実行しましょう。

 

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