こんにちは、
無垢スタイル建築設計 ムクエステートの猪俣です。
本日は中古住宅の購入を検討する際に抑えておきたいポイントのひとつをご紹介します。
皆さん中古住宅を探したことがある方は必ず「建物がいつ出来たものか」をチェックすると思います。
「ではその築年数をなぜチェックするのでしょうか」とお客様にお伺いするとほとんどの方が
「新しいほうがきれいだから」
「耐震性能が新しいほうがよさそうだから」
「築20年以内なら住宅ローン控除が受けられるから」
という方もいらっしゃいます。
建物の寿命
実際にお客様の言うとおりで、新しいほうがきれいですし耐震性能も高いことが多いのですが、問題は日本の中古住宅の考え方にあります。
日本の場合、木造家屋の価値(耐用年数)は22年とされており、取り壊した木造住宅の平均築年数でも27年というデータが国土交通省より発表されております。
実際に中古住宅の価格を決める際も耐用年数がベースになる為20年を越えた建物はほとんど価値がないとみなされてしまうのです。
ですが実際には人間の平均寿命を推計するのと同様の手法を建物で採用すると、60年以上の寿命があるとのデータもでています。
ちなみに日本最古の木造建築物は奈良の法隆寺で、1400年以上前に建てた木造建築物が現存します。
つまり、実際の建物の寿命と、価値が比例していない現実が中古住宅には存在するのです。
住宅の耐震性
では、実際に中古住宅を探す際にどんなことが関係するかといいますと、築20年の建物と築30年の建物を土地が同じ場所で、建物が同じ大きさとして比べた場合、築30年のほうが建物の状況が大きく変わらなくても、耐用年数による解体費用などを考慮することが多いため平均で400~500万円安くなるのが一般的です。
ですが、どちらの建物も平成12年6月以前に建築確認を取得しておりますので、いずれも耐震補強費用が同じようにかかると考えられます。
なぜ平成12年6月以前に建築確認を取得した建物は耐震補強が必要かといいますと、平成7年に発生した阪神淡路大震災では木造住宅が甚大な被害を受け、一般に耐震性が高いとされる昭和56年の建築基準法改正(新耐震工法)以降に建てられた木造住宅も多数倒壊し、生命に関わる多くの被害が発生してしまいました。
この地震を期に地震被害の原因解明とその対応が急がれ、平成12年6月に建築基準法が大幅に改正され、木造住宅(在来軸組構法)の弱点とされる接合部については金物補強が規定され、地震力に抵抗する耐力壁については、その配置バランスが規定されました。
先日発生した熊本地震でも比較的新しい建物が度重なる大きな揺れに耐え切れず倒壊しており、1階の壁量や配置のバランスが悪かったり、金物補強がしっかりできていなかったことが原因のひとつと考えられます。
上記のことから平成12年以前に建てられた建物でも耐震補強の必要性があるのです。
まとめ
耐震補強を行うと築20年を超えても住宅ローン控除が利用できるため、いずれの建物も内装フルリフォームが必要だとすると、結果見た目も性能も同じにしても築30年の建物のほうが、取得費が安い分、お得になるのです。
このように築年数が新しいほうが必ずしも良いわけではありませんので、検討する際には建物のプロにご相談しながら進めていくことをお勧めいたします。
無垢スタイルでは中古案内時に耐震診断士を同行してのご案内も可能ですので、お気軽にお申し付けください。
【中古住宅探しコンシェルジュ】
http://www.mukusta-reform.jp/concierge